
日本の70年代を象徴する音楽ジャンルの一つ、「フリージャズ」を作り上げたミュージシャンが大勢出演した
ライブハウス騒のオーナーの恵美子さんの本。阿部薫の「ライブアット騒」の舞台でご存知の方も多いと思う。
先日、この本を読了しました。興味深く、また味わい深い交流の話ばかりでした。タイトルに冠してあるだけあって
阿部薫の話が色んな箇所で出てきます。それこそ他のミュージシャンとの話でも「阿部ならこう言うに違いない」なんて言う記述も
多々みられます。
阿部薫はわずか数年の付き合いで、絶大な影響を騒さんへ与えた人物だというのも思い知らされます。
随分前から出ている阿部薫覚書などよりも、肩の力が抜いて読めますね。あれよりも少しは阿部の素顔に迫っているはず。
また、これが一番書きたかったことなのですが…
本の中で度々、名前を伏せられたある「歌手」の話が出てきます。(おそらくこの本を手に取られた方や、興味のある方は知らない人は
いないと思います。)著者はその歌手の表現の仕方や阿部への発言が許せなかったらしく、徹底的に批判しています。
その辺の話を読んでいる時だけは、なんだかとても悲しくなってしまいました。
阿部とその歌手、両方から影響を受けている人は少なくないはずなんですが。(私もその一人です)
もちろんそうでない人も沢山いるかと思いますが、その歌手に対して悪い印象のまま騒さんは亡くなられてしまったのがとても残念です。
最後に。阿部薫の発掘音源が見つかったと書いてありました。もうすぐ発売のようですね。久々に音源発売されるので嬉しい限りです。

1曲目『雨に濡れた慕情』、2曲目『朝がくるまえに」には参りました。格好良すぎです!
ともにファンキーかつクールなリズムとジャズっぽいピアノの伴奏に乗せて歌われる歌声は絶品です。
面白いと思ったのは8曲目の『喝采』と9曲目の『劇場』で、歌詞の中の主人公が、ちあき本人に重ね合わせられるように歌われます。彼女はそうしたドラマティックなもの引き受けるだけの雰囲気を持った存在であったことを改めて感じさせられました。またいかにも大人っぽい11曲目『夜間飛行』や12曲目『かなしみ模様』なども、とても魅力的な曲だと思いました。
歌われている世界は、今の世の中にあって時代錯誤もいいところで、若い人は共感するどころか笑い出すような内容なのでしょうが、こんな歌が空気のように流れていた当時をしみじみと懐かしむとともに、何か新鮮な気持ちにさせてくれたCDでした。