テレビ朝日放映ドラマの原作本。
でも、ドラマとは全く別物として読んだほうが良いでしょう。
ドラマの余韻を残したまま読むと、「あれ?」と思うかもしれない。
主人公は六年生の女の子、
この女の子の心理状況を楽しみながら
読めるのは小説ならではですね。
表題作は芥川賞受賞作品、と気負って読みすぎたせいかもしれないが、少々肩透かしを食らった感がある。たくさんの題材が一つの作品に盛り込まれすぎ、ディテールが語られず、消化不良の感が否めない。自伝的エッセイ「水辺のゆりかご」を前に読んだからかもしれないが、一つの作品としては少し弱いように思われる。それよりは併載されている短編「真夏」の文章の方に圧倒される。小学校の転校生へのいじめを題材にした「潮合い」は著者自身が壮絶ないじめに遭ったという事実が先入観としてあり、作品を真姿に捉えるのを妨げる。