この元となった事件で最も恐ろしい要素は、犯罪がどんどんエスカレートしていくところにあると思う。初めは殺すなんてことを考えていなくても、渦に引き込まれていくように、恐ろしいことをなしてしまうのだ。
ところがこの作品では犯罪の初めから、終わりにおいても加害者たちの心理の変動がほとんど描かれていない。ヒロキは最後までオロオロするだけの単なる人間のクズだったし、ミヤモトもゆるぎない悪であり続けたが、それは終始一貫していて、まったく暴走しない。
現実では自分たちのなしてしまったことが手に負えなくなっていくことから来る焦燥が加害者たちを炊きつけ、筆舌に尽くしがたい虐待・陵辱となっていく。被害者を徹底的に痛めつけ、耐え難い屈辱を毎日浴びせ続けた。そしてわずか17歳の彼女は絶望、恐怖、悲しみの中誰一人味方のいない部屋で死んでいった。どれほど助けてもらいたかったろう。どんなにご両親に会いたかったことだろうか。考えるだけで犯人に対する憎しみが湧き上がる
その重い事実を考えるとこの漫画の結末は一体なんだろう。
あまりにも軽い。