
美術史家の神戸大学人文学研究科准教授の宮下規久朗氏の分かりやすく実に含蓄のある「闇」の西洋絵画史という副題通りの解説が続きます。見開きの2ページにほぼ1点の作品が掲載してありますので初学者にも内容の理解は十分できますし、美術愛好家の方も満足いく記述だと思います。新書サイズですが印刷の水準も良いと思いました。筆者が沢山の著作を表しているカラヴァッジョ、ラ・トゥール、そしてほぼ同時代のオランダのレンブラントとフェルメール、ゴッホやギュスターヴ・モロー等の作品を取り上げ、光を描くことを追い求めた画家たちの凄みと、画面にあらわれる心の「闇」の表現を反映した作品のラインナップは魅力的でした。収録された作品の質の高さもさることながら、分かりやすく深い内容を盛り込んだ宮下氏の解説がより一層本書の価値を高めていると考えます。115ページには、ラ・トゥールの「聖ヨセフの夢」が掲載してありました。薄暗い蝋燭の炎に映し出された少女とヨセフしか描かれていません。炎は少女の腕で隠され、そこからの光が美しい少女の横顔を照らし出しています。一方の居眠りをしているヨセフは、ほとんど逆光の薄明かりに顔の輪郭が浮かび上がっています。 絶妙の構図と設定の名品です。フェルメールへのアプローチもまた参考になりました。フェルメールの素敵な作品が日本にやってきますので、是非美術館に足を運んで作品と対峙していただきたいと思います。その精緻な筆遣い、光の粒の描き方、絵具の発色の素晴らしさ、遠近法を取り入れたその手法、オランダの市民社会の到来を鮮やかに描き切ったテーマ、どれをとっても世界最高峰の作品群です。ご参考までに、本書の章立てを記します。闇の芸術の誕生 レオナルド・ダ・ヴィンチとルネサンスの巨匠たち、光と闇の相克 カラヴァッジョ、ヨーロッパに広がる闇 カラヴァッジョ派とバロックの巨匠たち、心の闇を照らす焔 ラ・トゥール、闇に輝く黄金の光 レンブラント、闇を溶かす光 フェルメール、闇の近代 光と闇の継承者たち。

ヒマラヤ岩塩を愛用しています。岩塩容器にミルがついてますが耐久性に難があり、このミルを購入しました。透明ですがガラスではなくアクリルなので安全です。いつもテーブルの上にいますよ!