朗読「夏の魔法」本岡類作・瀧川直樹朗読

住宅展示場の魔女 (集英社文庫)

住宅展示場の魔女 (集英社文庫)

本岡氏の90年代後半の雑誌掲載された短編をまとめた作品。通信販売や住宅展示場などの日常の消費生活や普段の生活の中でふとしたことにハマってしまった人々の悲喜劇を描いた作品。一応ミステリーとなっているが、本格施行ではなく、あくまで味付け程度。どの作品も身近なテーマで読者もハマりこんでしまいそうなものばかりで、興味深く読める。

住宅展示場 動画
愛の挨拶

愛の挨拶

大人のためのピアノ教室に集った男女5人の物語です。5人のうちでも、主人公となっているのは、定年を数年後に控えた証券マン。
退職後は奥さんのヴァイオリンと合奏しようという約束でピアノ教室に通っているんだけど、奥さんが海外で急死。さあ、これからの人生をどうする……というのが、メイン・ストーリーで、中年男性にとっては、身につまされるテーマなんだなあ。
しかし、驚いたのは、ビルマ(ミャンマー)難民の少女との交流が描かれている点。この小説が出たのと前後して、日本人カメラマンが取材中に射殺されたりして、ミャンマー問題が連日報道されるようになったのは、単なる偶然なのだろうか。日本にいるビルマ難民の姿もよく描かれてます。
ともあれ、登場人物も個性的だし、ストーリーも納得の充実度だけど、とくに素晴らしかったのは、ラストのシーン。私、本気で泣きました。
ここの部分だけでも、読む価値あり、ですね。

夏の魔法

夏の魔法

某出版関係に勤める大学時代の友人に本書を勧めた処、「細かなところまでの気配りがきいていて、いい小説ですなあ」とのコメントがありました。それと普段、小説などに目を向けることのない豚児が「夏の魔法」を見て、自分からこの本を読んでもいいか、と尋ねてきました。不思議なものです。これも一種の魔法でしょうか?殺伐としたニュースに辟易としている方、梅雨の暑さに参っている方、是非読んで下さい。涼風を感じること、請け合いです。